ヴィジュアルガイド 鉄道の旅 九州 (講談社 MOOK)

ヴィジュアルガイド 鉄道の旅 九州 (講談社 MOOK) の詳細

1980年代のこと、小学生から中学生にかけての時期、週末や大型休みごとに、カメラを片手に九州のあちこちを鉄道で旅していました。あの頃を契機に、炭鉱線などローカル線の廃止が相次ぎ、いま時刻表などを見ると、少し寂しげな状況ですが、残った路線旅を再び楽しむという方法もあるでしょうか。JNRからJRへの転換、即ち分割民営化は大きな出来事でしたが、その流れの中にあって、いま地方を旅すると、いろいろと考えさせられます。本書（講談社ムック）のカバー写真は、2009年に‘現役復帰’を果たした肥薩線のSL人吉、満開の桜とともに春爛漫を謳歌するように、その雄姿を見せています。本書は、恰好の撮影スポットから撮った各路線、各駅を象徴する写真に加え、意外と見過ごしてしまいそうな一コマをも救うようなスナップ写真も交え、観光と暮らし（地元の足）といったサブテーマのもと、うまくまとまっている感じです。文章のほうも、同路線を何度も旅している紀行作家がものしているだけに、ポイントのメリハリがつき、見所解説として十分だと思います。温泉などこれは、という沿線のスポットや、逃したくない駅弁情報、歴史や地誌、民芸、地場産品などの情報も満載で、時刻表とこれ1冊を携え、ふらっと該当路線に乗りに行くのも手かもしれません。（あと旅ノートやスタンプノート、記念入場券を入れるホルダーなども備えたいものです）あの当時は、ところどころでバスも利用する形で、基本的には鉄道を乗り継いでいたものですが、いまでは多くの地域でバス輸送に切り替わっていると思われるので、路線間を乗り継ぐ場合、事前に現地の交通事情をよく調べておくとよいかと思います。工夫された旅は、思わぬ拾い物をすることがあり、よい思い出となることでしょう。本書に掲載の路線名などは次のとおりです：○肥薩線…大畑駅のスイッチバックも、カバー写真のSL人吉は坂本～葉木駅間で○久大本線…久留米～大分（九州横断線その1）、日田彦山線が分岐する夜明駅も○門司港レトロ観光線…観光ガイド・マニマニ福岡などもご参照○日豊本線…小倉～大分～宮崎～鹿児島（幹線）○豊肥本線…熊本～大分（九州横断線その2）、水前寺公園、阿蘇山、豊後竹田なども○長崎本線…博多～長崎（幹線）○指宿枕崎線…観光ガイド・ココミル鹿児島などもご参照、片面ホームの喜入駅から海側はコンビナートのある絶景！○南阿蘇鉄道…旧の高森線○くま川鉄道…旧の湯前線○鹿児島本線…門司港～博多～熊本～鹿児島（幹線）○日南線…鬼の洗濯板と称される、黒潮洗う波状岩も○松浦鉄道…沿線の平戸大橋も見所○島原鉄道…福岡からだと西鉄大牟田経由、渡船で島原半島へ○高千穂鉄道…旧の高千穂線、惜しまれつつ2008年に最終的に廃止