世界文化小史 (講談社学術文庫)
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世界文化小史 (講談社学術文庫) の詳細
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1922年出版のイギリスの著名なSF作家H.G.ウェルズによって執筆された世界史の本で、主に民族や文化について扱っている。この本の魅力はユニークさにある。ここで述べた特徴が、いま日本でよく読まれている世界史の本の主流からかなり外れていることに気付いてほしい。今から百年近く前に書かれているために、のちに訂正されている学説などもあるが、それ以上に恩恵のほうが僕には大きかった。ちなみに補注のページが巻末に付されていて、問題の部分についてはそこで参照できるようになっている。一部感銘を受けた部分を挙げてみよう。アーリア人といえば、ヒトラー政権において優性民族とされ、人口を増やすために優遇されたことが有名だが、今ではその反省や定義のあいまいさから、すでに死語になってしまっている。いまアーリア人について知ろうとすれば、ウィキペディアなどを利用するしか方法はないが、本書の執筆時にはまだ一般に使用されていて、序盤で多く登場するため実際の文章のなかで理解することができる。また旧約聖書はそもそもはユダヤ人の歴史と言い伝えをまとめたものということができるが、中東の民族としては少数派だった彼らの言い伝えがなぜ世界的に知られるようになったのか、考えたことのある日本人は少ないのではないかと思う。ユダヤ人の歴史は必ずしも卓越した政治手腕や外交に彩られたものではない。多くの失敗と敗北を経て、長年の放浪や奴隷としての苦難の日々があった。アブラハムの子孫の12の部族から始まったユダヤの王国の黄金期はダビデとソロモン王の二代限りであり、その後分裂して南北に分かれ、それも滅亡してしまう。いわば敗者の歴史なのである。しかしユダヤ人はそれでも信仰を中心として希望を捨てず、安住の地を求め続けた。その姿に、敗者となり同じ苦難の毎日を送る他民族の一部がシンパシーを感じ、自らの失われたアイデンティティを捨て、ユダヤ人に同化していったというのである。ヨーロッパや中東の古代史は主として敗者の歴史であったことに気付く。一部の支配階級が圧倒的な平民と奴隷達を支配していた。しかもその国が隣国との戦争に敗れれば、その支配階級でさえも奴隷に転落してしまうのだ。ローマ帝国が安定期を迎えるまで、長年の民族の移動や戦乱の中で生み出されたのは多くの敗者であり、奴隷たちであった。ほとんどの民族は信仰の中心であった神殿を破壊され、土地を追われ、自分たちを物語る歴史書も持たなかった。彼らには自分たちを支えるものが必要だったのだ。しかもすべてを失ってしまったために、他の民族が所有するものから見つけ出すしかなかった。民族を超えて旧約聖書が読まれたのはそのためなのだろう。現在ユダヤ人には血統的ユダヤ人と、信仰的ユダヤ人がいるが、なぜ二通りに分類できるのかもそれで理解できる。「ユダヤ人が聖書を書いたのではない。聖書がユダヤ人を作ったのだ。」と本書にはあるが、まさに本質を突いた言葉だといえるだろう。かつて日本では信仰的ユダヤ人の由来としてハザール人の集団改宗説が有名になったが、僕は本書を読んでフェニキア人を祖とする人々もいる可能性があることを知った。言われてみれば「ヴェニスの商人」や、海上貿易で繁栄したユダヤ財閥の草創期を考えても、ハザール人より、「地中海の商人」フェニキア人の方がずっと相応しいような気がする。彼らのうち東地中海に住んだものを聖書などではペリシテ人と言うが、それはパレスチナの語源である。皮肉なことにイスラエルではユダヤに改宗したフェニキア人の子孫が、イスラムに改宗したかつての同族と戦闘状態にあるのだ。本書を読めばウェルズの作家としての豊かな才能を随所に感じることができる。それは文化史という総括の難しい分野を簡潔な言葉にまとめる力と、分かりやすく比較する能力だということができるだろう。もちろん文筆家としての確かな文章力が基本にあるから読みやすい。ただし一部にキリスト教に対して、イスラムを蔑視するようなところが見られる。また仏教その他のインド思想について、「神秘的で夢幻的」という抽象的な表現を多用しているところを見るとあまり理解していないようだ。ただ「文化小史」と言えるのはルターなどによる宗教改革までで、産業革命以降はほとんど一般的な近現代史の本になっている。これは宗教思想が価値観の変化により、民主主義や資本主義などの政治・経済思想に置き換えられてしまったと考えているためなのだろうか、具体的な記述がないので分からない。ウェルズはヨーロッパ列強による植民地争奪の時代が終焉を迎えたのは、ロシアが日本に日露戦争で負けたからだとしているが、当時の欧米では一般的な考え方だったのだろうか。もしそうなら、日本は当初から列強の一員と言うより反列強と考えられていたわけで、この後にくる太平洋戦争を植民地解放戦争と解釈する、いわゆる「大東亜戦争」の考え方はこの辺りにヒントを得ているか、意外にも純粋な海外発の見方だった可能性も否定できない。出版された時代を考えれば、第二次世界大戦直前の価値観や、歴史の解釈が推測できる点で本書の存在意義は大きい。至るところに小さな発見と新たな解釈のヒントが隠されている。
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